日本国有鉄道 労働運動史(別館)

国鉄で行われた生産性運動、通称マル生運動に関する関連資料をアップしていくブログです

マル生運動が導入された背景は?

国鉄はどのような経緯でマル生運動を導入したのでしょうか。

マル生運動を理解するためには、何故マル生運動が必要になったのかと言うことで、昭和30年代までさかのぼる必要がありそうです。

国鉄の労使関係は、昭和40年だから一気に悪化したと言う印象を持たれている方も多いのですが、実際には昭和30年代から強力な闘争が行われていました。
ただし、当時は当局側もしっかりしており、現場管理者をバックアップする体制が出来ており、さほど大きな問題にならなかったと言うことです。

昭和30年代の闘争というと、三井三池闘争等が目立っていますが、国鉄でも幾つかの大きな争議は行われており、今回は特に、「新潟闘争」と呼ばれる闘争を取り上げてみたいと思います。
この闘争は、結果的には、国労内の分裂を生むだけで徒労に終わることに成るのでした。

国鉄では新潟闘争が一つのきっかけ

新潟闘争について、wikipediaに「概略が書かれていますので長いですが、全文引用したいと思います。

1957年に、前年から続いた公共企業体労働組合協議会(公労協)の処分撤回闘争に国労・機労も参加したものの、国労新潟地域本部を中心に抜き打ち的なストが行われ(新潟闘争)乗客や荷主が反発。
一時は国労本部と国鉄当局との話し合いで事態を打開する動きがあったものの、地本が独断で駅長を吊し上げたりストを打ったりしたことから事態が泥沼化。
このことから新潟地本の中で闘争方針に批判的な非現業職員や民同右派を中心に国労を脱退し、新組合を結成。この動きは全国的に広がり、国鉄職能別労組連合会(国鉄職能労連)を結成するに至る。
さらに1959年に社会党の最右派が離脱して民主社会党(のち民社党を経て21世紀現在は民社協会)を結成すると、予てから関係が深かった民同右派も同調。
こちらは地域毎に労働組合を組織化し国鉄地方労組総連合会(国鉄地方総連)を結成、1962年には新国鉄労働組合連合(新国労・後に鉄道労働組合=鉄労)として両者は統合し全日本労働組合会議(全労)→全日本労働総同盟(同盟)に参加。第二組合として国労動労と対峙した。

 新潟闘争は、国労としても拠点として強力な闘争を戦わせたものの結果的には、更なる処分者を出すだけの一人負けとなり、更には、組合の分裂(民同右派を中心とした離脱)を招くだけでした。

以下キーポイントを列記します

1) ここで、国労からは労使協調路線を主とする、民同右派のグループが鉄労を結成しますが、この鉄労がマル生運動では一つのキーとなりますので覚えておいてください。

 2) さらに、国労では当局に対して階級闘争に基づく反発を強めることとなり、「職場の問題は 職場で取り上げ、職場で交渉し、職場で解決する」運動の開始し、「職場に労働運動を」と言うスローガンを掲げ行動することとなりました。
これは、昭和43年から全国的に現場協議制としてスタートすることとなり、これが現場を荒廃させる元凶となるものでした。
現場協議制も、当時の国鉄を理解するためのキーとなりますので覚えておいてください。


3) 国鉄にマル生運動を導入したのは、石田総裁の後を継いで、副総裁から昇格した磯崎叡総裁でした。
久々に生え抜きの総裁として着任するのですが、磯崎氏の評判は、国鉄を売った官僚たちの大野氏によると、大変厳しい評価を下しています。
磯崎氏は、荒廃した現場のことをよく知っていましたので、就任当初は「職場に人間性を回復しよう」というスローガンを唱え行動するのですが、最終的には官僚特有の保身から、現場の管理者のはしごを外す形で、陳謝し収拾を図ることとなり、物言わぬ管理者が増えて更に職場は荒廃、荷主はストライキばかりの国鉄に愛想を尽かしトラックに流れていくこととなりました。

マル生運動とはどんな運動だったかと進めたかったのですが、長くなりそうなので、マル生運動の歴史は次回にさせていただこうと思います。

続きます。

 

 

参考:

blackcat-kat.hateblo.jp

 

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