日本国有鉄道 労働運動史(別館)

国鉄で行われた生産性運動、通称マル生運動に関する関連資料をアップしていくブログです

生産性運動導入から、中止まで 第一二話

幹部は、生産性運動に無関心

管理局の幹部も生産性運動は今ひとつ無関心でしたが、それ以上に無関心だったのは国鉄本社のキャリア組と呼ばれるグループでした。

国鉄の本社採用と言えば、いわゆる官僚コースであり、超スピード出世が約束されている存在で有り、何年間かを問題なく過ごせば栄転できるわけですから、わざわざ危ない橋を渡る必要も無いわけです。

以下は余談ですが、

郵政も同じようなもので、私も郵政局に勤務していましたので、キャリア組と呼ばれる人たちとの接触は、せいぜい部長クラスだけでしたが、ノンキャリアであれば50歳以上で到達する、部長ポスト【本省の課長クラス】に40前後で就任するわけですから。ノンキャリアで郵政局に勤務していても、次席でそろそろ現場に出ようかというときに、大局の【関西であれば大阪中央・京都中央】と言った局の局長とほぼ同格のクラスになるわけですから。如何に、出世が早いか、その反面、十分な人格形成が出来ないままにトップに上がってしまうこと、また、回りがちやほやすることで、天狗になってしまい井の中の蛙になってしまい安いという弊害もあったかと思います。

  

反発する国労とマスコミキャンペーン

生産性運動前から、鉄労への加盟者はありましたが、生産性運動の深度化で、さらに、

国労を脱退して鉄労に加入する組合員が増えていくこことになりました。

そこで、最初は国労は、本社の生産性ニュースに対抗して、生産性運動反論シリーズとして、「ウソだよ!生産性運動」というチラシを作って対抗するものとしました。

 

国労が製作した嘘だよ生産性運動のチラシ
国鉄マルセイ闘争資料集から引用

 

裏面には、生産性運動に関する批判が書かれています。

中々秀逸なものですので、さわりの部分だけご覧いただこうと思います。

第一話 夢はいつひらく

問 この頃どこの職場でも、生産性運動の花ざかりだネ。

答 ウン!すごいネ、歌の文句じゃないが、「本命・穴馬かきわけて、追いつけ、追い越せ生産性運動」だよ。

問 マルセイ運動で、職場も、くらしも、明るくなって、夢を持てると言うけど?

答 とんでもないヨ、マルセイ運動は、当局にとっては明るい希望の持てるものかもしれないが、俺たち労働者にはユメもチボーもないよ。だって、国労の体質改善だ、仕事に根性を持て、と分裂にきちがいじみているだろう。

「どう咲きゃいいのさ、このわたし」だよ。

問 いいじゃないの幸せならば、「昨日よりも明日」とよくなればマルセイ運動は、だんだん良くなっていくのがみりょくじゃないのか?」

答 そこだよ・・・

 

ということで、ここから延々と生産性運動が人間性を奪い、資本家だけが儲かるんだと言うことで、生産運動の反論を続けることになります。

国労はその潤沢な資金を使って、マスコミに対してキャンペーンを行うこととなりました。

 

私より上の年代の方なら、「本命・穴馬かきわけて、追いつけ、追い越せ」とか「どう咲きゃいいのさ、このわたし」と言うフレーズを聞いてうなずかれる方も多いかと思うのですが、当時流行った歌の文句ですよね。

本命・・・は言わずとしれた、走れコータロー【ソルティシュガー】、どう咲きゃいいのさ・・・藤圭子の、圭子の夢は夜開くですよね。

ということで、当時の流行歌などを巧みに取り入れて、読ませる工夫をしていましたし、少なくとも組合員からすればマルセイ運動は自分たちにとっては害悪なのだと思い込ませるのには十分な破壊力があったように思います。

 

 国鉄当局の生産性ニュースが手造り感満載であったのに対して、国労のチラシは中々リキの入ったものであったことは間違いなさそうです。

 

続く 

 

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